労災に遭った場合、労災保険から「年金」が支給されるケースがあります。これを「労災年金」と言います。

労災年金が支給されるのはどういったケースでどの程度の支払いを受けられるのか、その注意点などを解説していきます。

1.労災年金の種類

労災年金には、傷病年金、障害年金、遺族年金の3種類があります。
以下でそれぞれどのようなものか、ご説明します。

①傷病年金

傷病年金は、労災を原因とするけがや病気が重症で、受傷後1年6ヶ月経っても完治しない場合に受け取れる年金です。
傷病等級には1~3級があり、1級がもっとも重くなっています。

第1級

傷病等級 障害の状態
1 神経系統の機能又は精神に著しい障害を有し、常に介護を要するもの
2 胸腹部臓器の機能に著しい障害を有し、常に介護を要するもの
3 両目が失明しているもの
4 そしゃく及び言語の機能を廃しているもの
5 両上肢をひじ関節以上で失ったもの
6 両上肢の用を全廃しているもの
7 両下肢をひざ関節以上で失ったもの
8 両下肢の用を全廃しているもの
9 前各号に定めるものと同程度以上の障害の状態にあるもの

 

第2級

傷病等級 障害の状態
1 神経系統の機能又は精神に著しい障害を有し、随時介護を要するもの
2 胸腹部臓器の機能に著しい障害を有し、随時介護を要するもの
3 両眼の視力が0.02以下になっているもの
4 両上肢を腕関節以上で失ったもの
5 両下肢を足関節以上で失ったもの
6 前各号に定めるものと同程度以上の障害の状態にあるもの

 

第3級

傷病等級 障害の状態
1 神経系統の機能又は精神に著しい障害を有し、常に労務に服することができないもの
2 胸腹部臓器の機能に著しい障害を有し、常に労務に服することができないもの
3 一眼が失明し、他目の視力が0.06以下になっているもの
4 そしゃく又は言語の機能を廃しているもの
5 両手の手指の全部を失ったもの
6 第1号及び第2号に定めるもののほか常に労務に服することができないもの
その他前各号に定めるものと同程度以上の障害の状態にあるもの

給付金の金額は以下の通りです。

1級…給付基礎日額の313日分
2級…給付基礎日額の277日分
3級…給付基礎日額の245日分

給付基礎日額は労災前の平均賃金をもとに計算された1日あたりの給付金額です。

3.障害年金

障害年金は、治療を受けても完治せずに一定の後遺障害が残ってしまったケースで受け取れる年金です。
後遺障害の等級には1~14級がありますが、1~7級のケースでは「障害補償年金」として年金が支払われ、8級~14級の場合には「障害補償一時金」として一時金が支給されます。

給付金額は以下の通りです。

1級 給付基礎日額の313日分
2級 給付基礎日額の277日分
3級 給付基礎日額の245日分
4級 給付基礎日額の213日分
5級 給付基礎日額の184日分
6級 給付基礎日額の156日分
7級 給付基礎日額の131日分

 

3.遺族年金

労働者が業務災害又は通勤災害によって死亡した場合、労働者の遺族に対して遺族補償年金等が支払われます。
遺族年金を受け取るためには次の要件が必要です。

①労働者が死亡した当時「その収入によって生計を維持していた」
②労働者の配偶者、子、父母、孫、祖父母又は兄弟姉妹であること
③年齢要件を満たしていること

遺族年金による支給金額は以下の通りです。

遺族が1人 給付基礎日額の153日分(55歳以上か一定の障害のある妻の場合は175日分)
遺族が2人 給付基礎日額の201日分
遺族が3人 年金給付基礎日額の223日分
遺族が4人 年金給付基礎日額の245日分

 

労災年金の注意点

厚生年金との調整

労働者や遺族が、すでに厚生年金や国民年金に基づく年金を受けている場合でも労災保険給付を受ける権利は失われません。

一方で、厚生年金・国民年金と労災年金を両方同時に受ける場合には、労災年金のうち障害年金や遺族年金の支給額が一定の割合を乗じる形で減額されます

併給調整率の表 ― 労災年金と厚生年金等の調整率

労災年金 障害年金 遺族年金
社会保険の種類 供給される年金給付 障害年金 遺族年金
厚生年金及び

国民年金

障害厚生年金及び 0.73
障害基礎年金
遺族厚生年金及び 0.80
遺族基礎年金
厚生年金 障害厚生年金 0.83
遺族厚生年金 0.84
国民年金 障害基礎年金 0.88
遺族基礎年金 0.88

 

定期報告

労災年金を受け取っている場合、1年に1回の定期報告をする必要があります。
定期報告は現状を労災保険へと知らせるものであり、毎年案内が送られてきます。

きちんと報告しないと年金給付を止められる可能性があります。

金額が変わる可能性がある

労災年金の金額は変動する可能性があります。

まず世の中の賃金水準が増減すれば、年金額もそれに合わせて増減されるケースがあります。

また、労働者の年齢につき5歳刻みで「最高額、最低額」が定められているので、その金額にかかった場合には改定対象となります。

労災年金は労災に遭った方の生活を守るために重要なお金です。
給付内容や申請方法など、疑問や不安がありましたらお気軽に弁護士までご相談下さい。