どれくらいの割合が、会社の過失として賠償金の支払いになるんだろう?

ほとんどの方は、労災事故に遭うこと自体が初めてです。

労災事故の現場において、誰に過失があり、それが過失相殺としてどれほどの割合として認めてもらえるのか、はっきりと理解されている方は多くありません。

このページでは、労働者と会社の過失の割合について、労災事故に精通した弁護士が解説します。

労災における自分と会社の過失

20〜30%の過失相殺となるケースが多い

昭和45年から平成26年までの裁判例において一番多い過失相殺率は3割台で、全体の22.4%を占めます。

次いで2割台が全体の19%を占めます。
3番目は5割台で全体の15.2%を占めます。

つまり、2~3割の過失割合が全体の41.4%を占めますので、2~3割の過失相殺率が非常に多いと言えます。

これは、労働災害の特殊性から、指揮命令をしている使用者側の安全配慮義務を優先するという特色があると考えられます。

一方、5割の過失相殺率が多い理由は労働契約が有償双務契約であることから両者五分五分という考え方もあるからだと思われます。

 

過失、賠償がみとめられたケース

30%の過失相殺がなされた事例

神戸地裁昭和50年5月20日判決

機械の点検、修理をするに当たって、電源を切って停止して行うべきだったのに減速したのみで行ったためにローラーに巻き込まれ右手の指をすべて失った事件

印刷機の印刷製品に汚れがあるのを発見した被災者は、本件印刷機の点検作業について、監督者に点検・修理を依頼したが、「回転を遅くしたらわかるから自分で直せ」と言われ、やむなく自らが印刷機の回転を遅くして点検したところ、右手が同機のローラーに巻き込まれ右全指欠損等の傷害を受けた事例。
裁判所は労働者に30%の過失を認定しました。

福岡地裁昭和59年2月24日判決

被災者は会社の鮮魚及び飲料等の荷揚げ作業を担当する作業員であり、事故当日、臨時クレーンによる鋼材の荷揚げ作業に従事していたが、作業中に頭部を船壁と荷揚げ中の鋼材との間に挟まれ、脳挫傷により死亡した事件
裁判所の判断

「被災労働者も鋼材の上に忘れた金具をとろうとして鋼材の上に身を乗り出した。」「労働者もあえて危険な行動に出ている点で相当の落ち度があると言わなければならない」として労働者に30%の過失を認定した。

 

20%の過失相殺がなされた事例

千葉地裁昭和53年6月19日判決

被災者は新築工事の基礎工事の為杭打機で杭打作業中、杭打機が傾いたため杭打機のリーダー(支柱:長さ:21m・直径約60㎝)に上り傾きを治すためのワイヤーを取り付けていたところ、右杭打機が横転し、被災者は支柱の下敷きとなり即死した。

裁判所の判断

被災者が杭打機の下の敷設をしたが、その敷設方法がずさんであったことも杭打機の傾く要因となったこと、傾いた杭打機に上る等被災者にも責められるべき点があるとして2割の過失を認めた。

 

会社側の過失を認めさせたい場合

労基署に提出する書類にきちんと事故状況を記載するべきです。
事故状況などを記載するときに会社の言いなりにならないように注意するべきです。

また、労災申請時や申請後には、労基署から事故時の状況について聞き取りがありますので、労基署からの聞き取りの際には、事故状況を詳しく説明しましょう。

さらに、医師がカルテに記載してくれることもありますので、治療の診断の際、どのような状況で怪我をしたのか詳しく説明しておきましょう。

 

過失割合に納得いかない場合

同様の事例での過去の判例を調査します。
また、事故時に、会社が労働安全衛生法等の法律を守っていたと言えるかについても調査します。

そのうえで、会社の法令の違反の内容や程度、類似事例の判例での過失割合を相手方に提示することによって、会社側の対応が変わる場合があります。

判例を提示しても会社側の対応が変わらない場合、訴訟によって争う必要があるでしょう。